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الجسر الذي لا يجوز فيه مشاهدة زفاف الثعلب

村[むら]の北[きた]に、古い[ふるい]木[き]の橋[はし]がありました。橋[はし]には、昔[むかし]からの決まり[きまり]がありました。

「夜[よる]、橋[はし]の上[うえ]で狐の嫁入り[きつねのよめいり]を見[み]てはいけない」

見[み]た人[ひと]は、大切[たいせつ]な人[ひと]の顔[かお]を忘れる[わすれる]と言わ[いわ]れていました。

ある秋[あき]の夜[よる]、宗太[そうだ]は薬[くすり]を持っ[もっ]て家[いえ]へ急い[いそい]でいました。母[はは]が高い[たかい]熱[ねつ]を出し[だし]たからです。となりの村[むら]の薬屋[くすりや]で、母[はは]の薬[くすり]を買い[かい]ました。

薬屋[くすりや]の主人[しゅじん]は言い[いい]ました。

「夜中[よなか]になる前[まえ]に飲ま[のま]せてください。でも、帰り[かえり]にあの橋[はし]を渡る[わたる]のですか」

「はい。他[ほか]の道[みち]では朝[あさ]になります」

「太鼓[たいこ]の音[おと]を聞い[きい]ても、振り向い[ふりむい]てはいけません。目[め]を閉じ[とじ]て、前[まえ]へ歩い[あるい]てください」

橋[はし]の上[うえ]では、月[つき]が出[で]ているのに雨[あめ]が降っ[ふっ]ていました。狐の嫁入り[きつねのよめいり]の夜[よる]だと言わ[いわ]れていました。

宗太[そうだ]が歩く[あるく]と、後ろ[うしろ]から太鼓[たいこ]の音[おと]がしました。川[かわ]に赤い[あかい]明かり[あかり]が映り[うつり]、少し[すこし]ずつ近づい[ちかづい]てきます。着物[きもの]の音[おと]と笑い声[わらいごえ]も聞こえ[きこえ]ました。

「見[み]ない。絶対[ぜったい]に見[み]ない」

宗太[そうだ]は目[め]を閉じ[とじ]ました。すると、後ろ[うしろ]から母[はは]の声[こえ]がしました。

「宗太[そうだ]、待っ[まっ]て。私[わたくし]を置い[おい]ていかないで」

宗太[そうだ]は足[あし]を止め[とめ]ました。母[はは]は家[いえ]で寝[ね]ているはずです。でも、声[こえ]は本物[ほんもの]に聞こえ[きこえ]ました。

「宗太[そうだ]、顔[かお]を見[み]て」

宗太[そうだ]は振り向き[ふりむき]そうになりました。その時[とき]、薬[くすり]の袋[ふくろ]がかさっと鳴り[なり]ました。

「これは母さん[かあさん]の声[こえ]ではない」

宗太[そうだ]は前[まえ]を向き[むき]、目[め]を閉じ[とじ]たまま走り[はしり]ました。

「見れ[みれ]ばよかったのに」

女[おんな]の声[こえ]が消える[きえる]と、太鼓[たいこ]も消え[きえ]ました。

橋[はし]を渡り[わたり]終える[おえる]と、雨[あめ]も止み[やみ]ました。宗太[そうだ]は家[いえ]へ走り[はしり]、母[はは]に薬[くすり]を飲ま[のま]せました。朝[あさ]、母[はは]の熱[ねつ]は下がり[さがり]ました。

「怖かっ[こわかっ]た?」と母[はは]が聞き[きき]ました。

「うん。でも、母さん[かあさん]の声[こえ]を聞い[きい]たよ」

母[はは]は宗太[そうだ]の手[て]を握り[にぎり]ました。

次[つぎ]の朝[あさ]、袋[ふくろ]の中[なか]に白い[しろい]狐[きつね]の毛[け]を一[いち]本[ぽん]見つけ[みつけ]ました。

それから宗太[そうだ]は、夜[よる]の橋[はし]を渡り[わたり]ませんでした。でも、月[つき]が出[で]ている雨[あめ]の夜[よる]には、遠く[とおく]で太鼓[たいこ]の音[おと]を聞き[きき]ます。

「トン、トン、トン」