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De verontschuldigingsbrief van de broer, verborgen in de lade van het boeddhistische huisaltaar

母[はは]の四十九[よんじゅうきゅう]日[にち]が終わっ[おわっ]た夜[よる]、由美[ゆみ]は仏壇[ぶつだん]の前[まえ]に座っ[すわっ]ていた。

古い[ふるい]家[いえ]は来週[らいしゅう]売る[うる]予定[よてい]だった。由美[ゆみ]は一人[ひとり]で家[いえ]を片づけ[かたづけ]ていた。仏壇[ぶつだん]の小さな[ちいさな]引き出し[ひきだし]を開ける[あける]と、白い[しろい]封筒[ふうとう]が出[で]てきた。

封筒[ふうとう]には、兄[あに]の健太[けんた]の字[じ]で「由美[ゆみ]へ」と書い[かい]てあった。由美[ゆみ]の手[て]が止まっ[とまっ]た。

健太[けんた]とは五[ご]年間[ねんかん]、話し[はなし]ていなかった。父[ちち]が病気[びょうき]になった時[とき]、健太[けんた]は家[いえ]を出[で]た。由美[ゆみ]は仕事[しごと]をやめて、父[ちち]と母[はは]の世話[せわ]をした。だから、由美[ゆみ]は「兄さん[にいさん]は家族[かぞく]から逃げ[にげ]た」と思っ[おもっ]ていた。

封筒[ふうとう]の中[なか]には短い[みじかい]手紙[てがみ]があった。

「由美[ゆみ]へ。

何[なん]も言わ[いわ]ずに家[いえ]を出[で]て、ごめん。父さん[とうさん]に頼ま[たのま]れて、大阪[おおさか]で働い[はたらい]た。父さん[とうさん]には借金[しゃっきん]があった。それを返す[かえす]ためだった。でも父さん[とうさん]は、『由美[ゆみ]には言わ[いわ]ないでくれ』と言っ[いっ]た。借金[しゃっきん]のことを知ら[しら]れたくなかったんだ。

三[さん]年[ねん]前[まえ]、家[いえ]に帰っ[かえっ]た。でも玄関[げんかん]で母さん[かあさん]に、『由美[ゆみ]はもう会い[あい]たくないと言っ[いっ]ている』と言わ[いわ]れた。信じ[しんじ]たくなかった。でも、怖く[こわく]て中[なか]に入れ[いれ]なかった。

いつか、ちゃんと謝り[あやまり]たい。

健太[けんた]」

由美[ゆみ]は何度[なんど]も手紙[てがみ]を読ん[よん]だ。

「私[わたくし]は、そんなこと言っ[いっ]ていない……」

母[はは]は、二人[ふたり]がまたけんかするのが怖かっ[こわかっ]たのかもしれない。でも、そのうそが二人[ふたり]をもっと遠く[とおく]にした。

由美[ゆみ]は電話[でんわ]をかけた。健太[けんた]の番号[ばんごう]は、まだ消し[けし]ていなかった。

「もしもし」

兄[あに]の声[こえ]は低く[ひくく]、少し[すこし]疲れ[つかれ]ていた。

「兄さん[にいさん]。仏壇[ぶつだん]の引き出し[ひきだし]に手紙[てがみ]があった」

電話[でんわ]の向こう[むこう]が静か[しずか]になった。

「あれを読ん[よん]だのか」

「どうして、私[わたくし]に直接[ちょくせつ]言わ[いわ]なかったの?」

「三[さん]年[ねん]前[まえ]、玄関[げんかん]で母さん[かあさん]に手紙[てがみ]を渡し[わたし]たんだ。由美[ゆみ]に渡し[わたし]てくれと頼ん[たのん]だ。でも、母さん[かあさん]は引き出し[ひきだし]に隠し[かくし]たんだと思う[おもう]。何度[なんど]も電話[でんわ]をかけようとした。でも、また嫌わ[きらわ]れるのが怖かっ[こわかっ]た」

「私[わたくし]も怖かっ[こわかっ]た。でも、私[わたくし]は兄さん[にいさん]を嫌っ[きらっ]ていない。ずっと怒っ[おこっ]ていただけ」

健太[けんた]は小さく[ちいさく]笑っ[わらっ]た。

「じゃあ、もう一度[いちど]やり直せる[やりなおせる]のか?」

「うん。だから、明日[あす]来[き]て」

次の日[つぎのひ]、健太[けんた]は家[いえ]に来[き]た。二人[ふたり]は仏壇[ぶつだん]の前[まえ]に並ん[ならん]で座っ[すわっ]た。しばらく何[なん]も言わ[いわ]なかった。

しばらくして、健太[けんた]が言っ[いっ]た。

「この家[いえ]、本当[ほんとう]に売る[うる]のか?」

「うん。でも、その前[まえ]に一緒[いっしょ]に片づけよう[かたづけよう]」

由美[ゆみ]は兄[あに]に、空[そら]になった引き出し[ひきだし]を見せ[みせ]た。その引き出し[ひきだし]は、昨日[きのう]より少し[すこし]明るく[あかるく]見え[みえ]た。