Loading translation and audio tools…

Přítel, který na třídním srazu jako jediný nepoužil mé rodné příjmení

Klepnutím na libovolné slovo zobrazíte okamžitý překlad. Pomocí tlačítek přehrávání si můžete při čtení příběh poslechnout.

Ilustrace pro odstavec 1

「森[もり]さん、久しぶり[ひさしぶり]!」

美香[みか]が店[みせ]に入る[はいる]と、友達[ともだち]はみんな彼女[かのじょ]を「森[もり]さん」と呼ん[よん]だ。森[もり]は美香[みか]の旧姓[きゅうせい]だった。高校[こうこう]を卒業[そつぎょう]してから十五[じゅうご]年[ねん]たっていたが、みんなの笑顔[えがお]は昔[むかし]と同じ[おなじ]だった。

「今[いま]は佐藤[さとう]だけど、今日[きょう]は森[もり]でいいよ」

美香[みか]は笑っ[わらっ]た。昔[むかし]の名前[なまえ]を聞く[きく]と、高校生[こうこうせい]に戻っ[もどっ]たようだった。

Ilustrace pro odstavec 5

でも、健太[けんた]だけは「森[もり]さん」と呼ば[よば]なかった。

「佐藤[さとう]さん、久しぶり[ひさしぶり]」

健太[けんた]は窓[まど]のそばで静か[しずか]に言っ[いっ]た。

高校[こうこう]時代[じだい]、美香[みか]と健太[けんた]は仲[なか]がよかった。同じ[おなじ]電車[でんしゃ]で学校[がっこう]へ行き[いき]、毎日[まいにち]いろいろな話[はなし]をした。でも卒業後[そつぎょうご]、二人[ふたり]はほとんど会わ[あわ]なかった。

Ilustrace pro odstavec 9

「みんなは森[もり]って呼ん[よん]でいるよ」

「うん、聞こえ[きこえ]ている」

健太[けんた]はそう言っ[いっ]て、水[みず]を飲ん[のん]だ。

美香[みか]は少し[すこし]悲しく[かなしく]なった。健太[けんた]まで遠い[とおい]人[ひと]になった気[き]がした。

Ilustrace pro odstavec 13

帰る[かえる]時間[じかん]になり、美香[みか]は店[みせ]の外[そと]で健太[けんた]に聞い[きい]た。

「どうして旧姓[きゅうせい]で呼ば[よば]ないの?」

「いやだった?」

「少し[すこし]。昔[むかし]の友達[ともだち]ではなくなったように感じ[かんじ]た」

Ilustrace pro odstavec 17

健太[けんた]はかばんから青い[あおい]ノートを出し[だし]た。

「これを覚え[おぼえ]ている?」

卒業式[そつぎょうしき]の日[ひ]、二人[ふたり]で書い[かい]たノートだった。最後[さいご]のページに美香[みか]の字[じ]があった。

『十[じゅう]年[ねん]後[ご]、私[わたくし]の名前[なまえ]が変わっ[かわっ]ても、新しい[あたらしい]名前[なまえ]で呼ん[よん]でください。今[いま]の私[わたくし]も大切[たいせつ]にしてほしいから。』

Ilustrace pro odstavec 21

「これをずっと持っ[もっ]ていたの?」

「約束[やくそく]だから。今日[きょう]、やっと会え[あえ]たけど、約束[やくそく]はまだ大切[たいせつ]だよ」

美香[みか]はノートを見[み]て、涙[なみだ]を流し[ながし]た。悲しい[かなしい]涙[なみだ]ではなかった。

「ありがとう、健太[けんた]。今[いま]の私[わたくし]を見[み]てくれていたんだね」

「うん。佐藤[さとう]さん、これからもよろしく」

Ilustrace pro odstavec 26

二人[ふたり]は駅[えき]まで一緒[いっしょ]に歩い[あるい]た。美香[みか]はもう、健太[けんた]を遠い[とおい]人[ひと]だと思わ[おもわ]なかった。