Den ven, der som den eneste ved klassegensynet ikke kaldte mig ved mit pigenavn
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「森[もり]さん、久しぶり[ひさしぶり]!」
美香[みか]が店[みせ]に入る[はいる]と、友達[ともだち]はみんな彼女[かのじょ]を「森[もり]さん」と呼ん[よん]だ。森[もり]は美香[みか]の旧姓[きゅうせい]だった。高校[こうこう]を卒業[そつぎょう]してから十五[じゅうご]年[ねん]たっていたが、みんなの笑顔[えがお]は昔[むかし]と同じ[おなじ]だった。
「今[いま]は佐藤[さとう]だけど、今日[きょう]は森[もり]でいいよ」
美香[みか]は笑っ[わらっ]た。昔[むかし]の名前[なまえ]を聞く[きく]と、高校生[こうこうせい]に戻っ[もどっ]たようだった。

でも、健太[けんた]だけは「森[もり]さん」と呼ば[よば]なかった。
「佐藤[さとう]さん、久しぶり[ひさしぶり]」
健太[けんた]は窓[まど]のそばで静か[しずか]に言っ[いっ]た。
高校[こうこう]時代[じだい]、美香[みか]と健太[けんた]は仲[なか]がよかった。同じ[おなじ]電車[でんしゃ]で学校[がっこう]へ行き[いき]、毎日[まいにち]いろいろな話[はなし]をした。でも卒業後[そつぎょうご]、二人[ふたり]はほとんど会わ[あわ]なかった。

「みんなは森[もり]って呼ん[よん]でいるよ」
「うん、聞こえ[きこえ]ている」
健太[けんた]はそう言っ[いっ]て、水[みず]を飲ん[のん]だ。
美香[みか]は少し[すこし]悲しく[かなしく]なった。健太[けんた]まで遠い[とおい]人[ひと]になった気[き]がした。

帰る[かえる]時間[じかん]になり、美香[みか]は店[みせ]の外[そと]で健太[けんた]に聞い[きい]た。
「どうして旧姓[きゅうせい]で呼ば[よば]ないの?」
「いやだった?」
「少し[すこし]。昔[むかし]の友達[ともだち]ではなくなったように感じ[かんじ]た」

健太[けんた]はかばんから青い[あおい]ノートを出し[だし]た。
「これを覚え[おぼえ]ている?」
卒業式[そつぎょうしき]の日[ひ]、二人[ふたり]で書い[かい]たノートだった。最後[さいご]のページに美香[みか]の字[じ]があった。
『十[じゅう]年[ねん]後[ご]、私[わたくし]の名前[なまえ]が変わっ[かわっ]ても、新しい[あたらしい]名前[なまえ]で呼ん[よん]でください。今[いま]の私[わたくし]も大切[たいせつ]にしてほしいから。』

「これをずっと持っ[もっ]ていたの?」
「約束[やくそく]だから。今日[きょう]、やっと会え[あえ]たけど、約束[やくそく]はまだ大切[たいせつ]だよ」
美香[みか]はノートを見[み]て、涙[なみだ]を流し[ながし]た。悲しい[かなしい]涙[なみだ]ではなかった。
「ありがとう、健太[けんた]。今[いま]の私[わたくし]を見[み]てくれていたんだね」
「うん。佐藤[さとう]さん、これからもよろしく」

二人[ふたり]は駅[えき]まで一緒[いっしょ]に歩い[あるい]た。美香[みか]はもう、健太[けんた]を遠い[とおい]人[ひと]だと思わ[おもわ]なかった。