Loading translation and audio tools…

Malam ketika senar ketiga shamisen Tsugaru putus

Ketuk kata apa saja untuk mendapatkan terjemahan instan. Gunakan tombol putar untuk mendengarkan cerita sambil membaca.

Ilustrasi untuk paragraf 1

工藤[くどう]はるかは、青森県[あおもりけん]の小さな[ちいさな]町[まち]で育っ[そだっ]た。祖父[そふ]は津軽[つがる]三味[しゃみ]線[せん]の先生[せんせい]だった。はるかは十[じゅう]歳[さい]のときから、毎日[まいにち]祖父[そふ]と練習[れんしゅう]した。

「強く[つよく]弾く[ひく]だけではだめだ。音[おと]と音[おと]の間[あいだ]も聞き[きき]なさい」

祖父[そふ]はいつもそう言っ[いっ]た。でも、若い[わかい]はるかには、その意味[いみ]がよく分から[わから]なかった。

Ilustrasi untuk paragraf 4

二十二[にじゅうに]歳[さい]の冬[ふゆ]、はるかに大きな[おおきな]チャンスが来[き]た。青森市[あおもりし]の音楽会[おんがくかい]で演奏[えんそう]することになったのだ。ラジオ局[らじおきょく]の人[ひと]も来る[くる]予定[よてい]だった。よい演奏[えんそう]ができれば、東京[とうきょう]の番組[ばんぐみ]に出[で]られるかもしれない。

Ilustrasi untuk paragraf 5

音楽会[おんがくかい]の夜[よる]、外[そと]では強い[つよい]雪[ゆき]が降っ[ふっ]ていた。会場[かいじょう]には三百[さんひゃく]人[にん]の客[きゃく]がいた。はるかの手[て]は冷たく[つめたく]、少し[すこし]震え[ふるえ]ていた。

舞台[ぶたい]に出る[でる]前[まえ]、祖父[そふ]は言っ[いっ]た。

「三味線[しゃみせん]と戦う[たたかう]な。三味線[しゃみせん]と一緒[いっしょ]に話せ[はなせ]」

はるかは静か[しずか]にうなずいた。

Ilustrasi untuk paragraf 9

演奏[えんそう]が始まっ[はじまっ]た。最初[さいしょ]の音[おと]は強く[つよく]、明るかっ[あかるかっ]た。客[きゃく]はすぐに静か[しずか]になった。はるかは速く[はやく]弾い[ひい]た。音[おと]は雪[ゆき]の中[なか]を走る[はしる]風[かぜ]のようだった。

しかし、曲[きょく]の真ん中[まんなか]で、大きな[おおきな]音[おと]がした。

パン!

三[さん]本[ぽん]目[め]の糸[いと]が切れ[きれ]た。

Ilustrasi untuk paragraf 13

会場[かいじょう]は急[きゅう]に静か[しずか]になった。はるかの顔[かお]は赤く[あかく]なった。曲[きょく]はまだ半分[はんぶん]以上[いじょう]残っ[のこっ]ていた。ここでやめたら、東京[とうきょう]の番組[ばんぐみ]に出る[でる]チャンスもなくなるかもしれない。

舞台[ぶたい]の横[よこ]から、係[かかり]の人[ひと]が小さな[ちいさな]声[こえ]で聞い[きい]た。

「終わり[おわり]にしますか?」

はるかは答え[こたえ]なかった。残っ[のこっ]た二[に]本[ぽん]の糸[いと]を見[み]て、祖父[そふ]の言葉[ことば]を思い出し[おもいだし]た。

「音[おと]と音[おと]の間[あいだ]も聞き[きき]なさい」

はるかはもう一度[いちど]、ばちを上げ[あげ]た。今度[こんど]はゆっくり弾き[ひき]始め[はじめ]た。二[に]本[ぽん]の糸[いと]で、曲[きょく]を少し[すこし]変え[かえ]たのだ。音[おと]がない時間[じかん]も、音楽[おんがく]の一部[いちぶ]になった。

Ilustrasi untuk paragraf 19

客[きゃく]の中[なか]で、誰[だれ]かが泣い[ない]ていた。最後[さいご]の音[おと]が消える[きえる]と、長い[ながい]静けさ[しずけさ]があった。それから、大きな[おおきな]拍手[はくしゅ]が起こっ[おこっ]た。

Ilustrasi untuk paragraf 20

演奏[えんそう]のあと、ラジオ局[らじおきょく]の人[ひと]がはるかに言っ[いっ]た。

「完璧[かんぺき]ではありませんでした。でも、忘れ[わすれ]られない演奏[えんそう]でした」

Ilustrasi untuk paragraf 22

その春[はる]、はるかは東京[とうきょう]のラジオ番組[ばんぐみ]に出[で]た。その後[ご]、津軽[つがる]三味[しゃみ]線[せん]の演奏者[えんそうしゃ]として、日本[にっぽん]の多く[おおく]の町[まち]を回っ[まわっ]た。

Ilustrasi untuk paragraf 23

はるかは、あの夜[よる]に切れ[きれ]た糸[いと]を小さな[ちいさな]箱[ばこ]に入れ[いれ]、長い[ながい]間[あいだ]持っ[もっ]ていた。

「失敗[しっぱい]の思い出[おもいで]ですか」と聞か[きか]れると、彼女[かのじょ]は笑っ[わらっ]た。

「いいえ。初めて[はじめて]三味線[しゃみせん]と話し[はなし]た夜[よる]の思い出[おもいで]です」