पिता के साथ आखिरी रोलर कोस्टर की सवारी
A2 · Relationships & Drama
私[わたくし]は二十二[にじゅうに]歳[さい]でした。その夏[なつ]、大学[だいがく]を卒業[そつぎょう]して、東京[とうきょう]で仕事[しごと]を始める[はじめる]ことになりました。実家[じっか]を離れる[はなれる]前[まえ]の週末[しゅうまつ]、父[ちち]は私[わたくし]に言い[いい]ました。「遊園地[ゆうえんち]に行こう[いこう]。」
私[わたくし]は少し[すこし]驚き[おどろき]ました。父[ちち]は遊園地[ゆうえんち]があまり好き[すき]ではありませんでした。特に[とくに]、ジェットコースターはいつも「怖い[こわい]」と言っ[いっ]ていました。でも、私[わたくし]は覚え[おぼえ]ていました。私[わたくし]が八[はち]歳[さい]の時[とき]、父[ちち]は約束[やくそく]をしました。「大きく[おおきく]なったら、一緒[いっしょ]にジェットコースターに乗ろう[のろう]よ。」それから十四[じゅうよん]年[ねん]が経ち[たち]ました。
その日曜日[にちようび]、私たち[わたしたち]は遊園地[ゆうえんち]に行き[いき]ました。天気[てんき]はよかったです。空[そら]は青く[あおく]て、風[かぜ]は気持ち[きもち]よかったです。でも、ジェットコースターの前[まえ]に着い[つい]た時[とき]、父[ちち]の顔[かお]は少し[すこし]白く[しろく]なりました。「父さん[とうさん]、大丈夫[だいじょうぶ]?」「大丈夫[だいじょうぶ]だ。」父[ちち]は短く[みじかく]言い[いい]ました。でも、声[こえ]は小さかっ[ちいさかっ]たです。
列[れつ]に並ん[ならん]でいる時[とき]、父[ちち]は何[なん]も言い[いい]ませんでした。私[わたくし]も何[なん]も言い[いい]ませんでした。ただ、二人[ふたり]で青い[あおい]空[そら]を見[み]ました。席[せき]に座っ[すわっ]た時[とき]、父[ちち]は私[わたくし]の手[て]を握り[にぎり]ました。強く[つよく]、でも優しく[やさしく]。「怖い[こわい]?」私[わたくし]は小さく[ちいさく]笑い[わらい]ながら聞き[きき]ました。「少し[すこし]な。」父[ちち]は正直[しょうじき]に言い[いい]ました。
ジェットコースターは動き始め[うごきはじめ]ました。速く[はやく]なりました。もっと速く[はやく]、もっと高く[たかく]。父[ちち]は目[め]を閉じ[とじ]ませんでした。ずっと前[まえ]を見[み]ていました。私[わたくし]も前[まえ]を見[み]ました。一番[いちばん]高い[たかい]ところから下[した]に落ち[おち]た時[とき]、私たち[わたしたち]は二人[ふたり]で大きく[おおきく]叫び[さけび]ました。父[ちち]の声[こえ]は本当[ほんとう]に大きかっ[おおきかっ]たです。
乗り物[のりもの]が止まっ[とまっ]た後[あと]、父[ちち]はゆっくり息[いき]をしました。「どうだった?」私[わたくし]は聞き[きき]ました。父[ちち]は少し[すこし]考え[かんがえ]てから言い[いい]ました。「もう一回[いちかい]は、いらないな。」私[わたくし]は笑い[わらい]ました。父[ちち]も笑い[わらい]ました。
帰り道[かえりみち]、出口[でぐち]の近く[ちかく]に一[いち]枚[まい]の写真[しゃしん]がありました。ジェットコースターの上[うえ]で、私たち[わたしたち]が叫ん[さけん]でいる写真[しゃしん]です。父[ちち]の目[め]は大きく[おおきく]開い[ひらい]ていました。私[わたくし]の口[くち]も大きく[おおきく]開い[ひらい]ていました。「買う[かう]?」と私[わたくし]は聞き[きき]ました。父[ちち]はその写真[しゃしん]を長い[ながい]間[あいだ]見[み]ました。そして、ゆっくり財布[さいふ]を出し[だし]ました。「買おう[かおう]。」
今[いま]も、その写真[しゃしん]は東京[とうきょう]のアパートの机[つくえ]の上[うえ]にあります。父[ちち]の顔[かお]を見る[みる]たびに、少し[すこし]泣き[なき]そうになります。でも、笑い[わらい]ます。あの日[ひ]、父[ちち]は十四[じゅうよん]年[ねん]前[まえ]の約束[やくそく]を守り[まもり]ました。ただ、それだけのことです。でも、私[わたくし]にとって、それはとても大切[たいせつ]なことでした。