Loading translation and audio tools…

Bambussverdet som knakk dagen før mesterskapet

田中[たなか]リョウは高校[こうこう]二[に]年生[ねんせい]の剣道[けんどう]選手[せんしゅ]です。毎朝[まいあさ]六[ろく]時[じ]に道場[どうじょう]に来[き]て、毎晩[まいばん]遅く[おそく]まで練習[れんしゅう]していました。理由[りゆう]はひとつです。明日[あす]、全国大会[ぜんこくたいかい]があるからです。

でも、練習[れんしゅう]の最後[さいご]に問題[もんだい]が起き[おき]ました。リョウが大きく[おおきく]素振り[すぶり]をした時[とき]、竹刀[しない]が「パキッ」と音[おと]を立て[たて]ました。「あ!」竹刀[しない]は真ん中[まんなか]から割れ[われ]ていました。三[さん]年間[ねんかん]、毎日[まいにち]使っ[つかっ]た大切[たいせつ]な竹刀[しない]です。リョウの手[て]がふるえました。

「どうしよう…」時計[とけい]を見[み]ました。午後[ごご]七[しち]時半[じはん]です。スポーツ用品店[ようひんてん]はもう閉まっ[しまっ]ています。明日[あす]の朝[あさ]は会場[かいじょう]に直接[ちょくせつ]行き[いき]ます。新しい[あたらしい]竹刀[しない]を買う[かう]時間[じかん]はありません。

コーチの山田[やまだ]先生[せんせい]がゆっくり近づい[ちかづい]てきました。「折れ[おれ]たか。」「はい…すみません。」リョウは頭[あたま]を下げ[さげ]ました。山田[やまだ]先生[せんせい]は少し[すこし]黙り[だまり]ました。そして、自分[じぶん]のバッグから古い[ふるい]竹刀[しない]を一[いち]本[ぽん]出し[だし]ました。「これを使え[つかえ]。」

リョウは驚き[おどろき]ました。その竹刀[しない]は古く[ふるく]て、少し[すこし]傷[きず]がありました。でも、持っ[もっ]てみると、重さ[おもさ]がちょうどよかったです。「先生[せんせい]の竹刀[しない]…いいんですか?」「私[わたくし]が高校[こうこう]三[さん]年[ねん]の全国大会[ぜんこくたいかい]で使っ[つかっ]た竹刀[しない]だ。」山田[やまだ]先生[せんせい]の顔[かお]は真剣[しんけん]でした。でも、目[め]はやさしかったです。「竹刀[しない]は道具[どうぐ]だ。でも、大事[だいじ]な試合[しあい]を知っ[しっ]ている道具[どうぐ]は違う[ちがう]。明日[あす]、お前[おまえ]もその試合[しあい]を知れ[しれ]。」

リョウはその言葉[ことば]が少し[すこし]難しかっ[むずかしかっ]たです。でも、胸[むね]がじんわりと熱く[あつく]なりました。その夜[よる]、リョウは何度[なんど]もその竹刀[しない]を握り[にぎり]ました。古い[ふるい]竹[たけ]の感触[かんしょく]は少し[すこし]違い[ちがい]ました。でも、なぜか安心[あんしん]できました。

翌朝[よくあさ]、バスの中[なか]でリョウは竹刀[しない]を静か[しずか]に見[み]ました。そして、小さな[ちいさな]声[こえ]で言い[いい]ました。「よろしく頼む[たのむ]。」