Emeklilik gününde, şirket çekmecesinden başkasının istifa mektubu çıktı

Otuz yıllık kariyerinin son öğleden sonrasında, emekli olan bir bölüm şefi en alt çekmecesini açar ve on iki yıl önce işten çıkarılmış ve o zamandan beri ölmüş bir meslektaşının kapalı bir istifa mektubunu bulur — ve mektubun son cümlesi, istifanın aslında ona ait olmadığını ima eder.

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田中[たなか]義雄[よしお]は自分[じぶん]の机[つくえ]の前[まえ]に立っ[たっ]ていた。今日[きょう]が最後[さいご]の日[ひ]だった。引き出し[ひきだし]を一[ひと]つずつ開け[あけ]て、中身[なかみ]をダンボール箱[ばこ]に入れ[いれ]ていた。一番[いちばん]下[した]の引き出し[ひきだし]を完全[かんぜん]に引き抜い[ひきぬい]たとき、底[そこ]の裏側[うらがわ]に古い[ふるい]封筒[ふうとう]がテープで貼り付け[はりつけ]てあるのに気づい[きづい]た。

節子[せつこ]、今[いま]少し[すこし]時間[じかん]ある?

あるよ。どうしたの?もう片づけ[かたづけ]終わっ[おわっ]た?

いや、まだ。引き出し[ひきだし]の裏[うら]に古い[ふるい]封筒[ふうとう]を見つけ[みつけ]た。テープで貼り付け[はりつけ]てあった。

引き出し[ひきだし]の裏[うら]に?だれの?

森田[もりた]さんの名前[なまえ]が書い[かい]てある。日付[ひづけ]は12年[ねん]前[まえ]だ。

森田[もりた]さんって…亡くなっ[なくなっ]た森田[もりた]さん?

そう。

開け[あけ]たの?

テープが古く[ふるく]て、封[ふう]もほとんど開い[ひらい]ていた。辞表[じひょう]だった。

辞表[じひょう]…

でも最後[さいご]の一[いち]文[ぶん]が気[き]になる。「この辞表[じひょう]は、自分[じぶん]の意志[いし]で書い[かい]たものではありません。」

えっ

それ、どういうこと?

わからない。でも村上[むらかみ]さんが知っ[しっ]ているかもしれない。このグループに入れ[いれ]ていいか?

もちろんよ。

田中[たなか]義雄[よしお]は村上[むらかみ]克己[かつみ]をグループチャットに追加[ついか]した。

村上[むらかみ]さん、突然[とつぜん]すみません。今日[きょう]が私[わたくし]の最終日[さいしゅうび]で、片づけ[かたづけ]をしていたら驚く[おどろく]ものを見つけ[みつけ]ました。

義雄[よしお]さん、今日[きょう]でしたね。お疲れ様[おつかれさま]です。驚く[おどろく]もの、とは?

森田[もりた]さんの辞表[じひょう]です。一番[いちばん]下[した]の引き出し[ひきだし]の裏[うら]に、テープで貼り付け[はりつけ]てありました。

これです。12年[ねん]前[まえ]からここにあったみたいです

…

森田[もりた]さんの?

はい。そして、この一[いち]文[ぶん]がありました。「この辞表[じひょう]は、自分[じぶん]の意志[いし]で書い[かい]たものではありません。」

やっぱり…

村上[むらかみ]さん、「やっぱり」って?

森田[もりた]さんが辞め[やめ]た時[とき]、おかしいと思っ[おもっ]ていたんです。ある日[ひ]突然[とつぜん]、上[うえ]に呼ば[よば]れた。次の日[つぎのひ]には荷物[にもつ]をまとめていた。

「自分[じぶん]で決め[きめ]た」と言っ[いっ]ていたけど、目[め]が全然[ぜんぜん]笑っ[わらっ]ていなかった。

私[わたくし]も気[き]になっていました。でも、そのまま時間[じかん]が経っ[たっ]てしまいました。

森田[もりた]さん、5年[ねん]前[まえ]に亡くなっ[なくなっ]たよね。

ええ。

これ、人事[じんじ]に出す[だす]べきでしょうか。それとも持っ[もっ]て帰る[かえる]べきか…

人事[じんじ]に出し[だし]たら、なくなるんじゃない?

そう思い[おもい]ます。当時[とうじ]の役員[やくいん]がまだ会社[かいしゃ]にいる。封筒[ふうとう]が消える[きえる]可能性[かのうせい]が高い[たかい]。

そうですね。森田[もりた]さんには娘[むすめ]さんがいましたよね。

いましたね。今[いま]は神戸[こうべ]にいると思い[おもい]ます。連絡先[れんらくさき]は…探せ[さがせ]ばわかるかもしれない。

持っ[もっ]て帰り[かえり]ます。そして、娘[むすめ]さんに連絡[れんらく]してみます。

それがいいと思う[おもう]。義雄[よしお]、あなたがそう決め[きめ]てよかったわ。

義雄[よしお]さん…あの、これだけ言わ[いわ]せてください。森田[もりた]さんはね、最後[さいご]に会っ[あっ]た時[とき]に、こう言っ[いっ]ていたんです。「いつか、本当[ほんとう]のことが伝わる[つたわる]日[ひ]が来る[くる]といいな」って。封筒[ふうとう]を引き出し[ひきだし]の裏[うら]に貼っ[はっ]たのは、森田[もりた]さん自身[じしん]だと思い[おもい]ます。あなたに見つけ[みつけ]てほしかったのかもしれない。今日[きょう]、最後[さいご]の日[ひ]に見つかっ[みつかっ]たのは…偶然[ぐうぜん]じゃない気[き]がします。

村上[むらかみ]さん…

ありがとうございます。大切[たいせつ]に持っ[もっ]て帰り[かえり]ます。

夕ご飯[ゆうごはん]、作っ[つくっ]て待っ[まっ]てるよ😊

うん。少し[すこし]遅く[おそく]なるかもしれない。最後[さいご]だから、みんなに挨拶[あいさつ]もしないといけない。

ゆっくりでいいよ。

田中[たなか]義雄[よしお]は封筒[ふうとう]をスーツの内[うち]ポケットにそっと入れ[いれ]た。窓[まど]の外[そと]には大阪[おおさか]の夕空[ゆうぞら]が広がっ[ひろがっ]ていた。机[つくえ]の上[うえ]には何[なん]もなかった。

今[いま]、会社[かいしゃ]を出[で]ました。

お疲れ様[おつかれさま]でした、義雄[よしお]さん。長い[ながい]間[あいだ]、本当[ほんとう]にお疲れ様[おつかれさま]でした。

お帰り[かえり]、待っ[まっ]てるよ😊

帰る[かえる]前[まえ]に一[ひと]つだけ。

森田[もりた]さんは、12年間[ねんかん]ずっとここにいてくれたのかもしれない。

…うん。

…うん。